『〜地震予知を考える〜不確実情報を扱う社会のあり方』

<確実度と活動度>

山本 きょうも、地震防災対策強化地域判定会会長の溝上恵さんに、お越し頂きました。
溝上 よろしくお願いします。
山本 昨日は、地震予知の現状について、話を伺ったのですが、きょうは、地震予知と社会の関係について、地震予知の不確実性と絡めてお話を伺いたいと思います。地震予知の確実性は現状でどの様に考えていけばいいのでしょうか。
溝上 「地震」そのものがどういうものなのかというと、何百、何千という長い間歪みを蓄えて、それを10秒ほどの短い時間で放出する突発的なものです。ですから予知は一般論としては、難しいといわれており、やはり地震が起きるサイクルが長いタイプのものは難しいと考えるべきだと思います。一方で東海地震などについては、もはや歪みが溜まりに溜まってり、病気に置きかえれば「いつ発病してもおかしくない状態」です。東海地震はそういう切羽詰った状態といえます。じゃあいつ地震が起きるのかと聞かれても困ってしまうのですが、もし24時間体制で観測をし、前兆が確認され、理論的な吟味をして、その加速が「もう後戻り(前兆が沈静化する)はしない」と判断されれば、私は臆することなく予知情報を出すと思います。その時点での確実度は、90%を超えている自信はあります。
山本 病気に感染して発病したときに、医者が本人に告知をするようなものですね。
溝上 その他、伊東の群発地震の場合は、規模は予測できなくても、確実度という点では非常に高いものがあります。ですから確実性を考えるときは、いくつかのケースを区別して捉えることが必要です。ですから確実度だけでなく、同時に活動度(地震の大きさ、規模)も考えなければならない面もあります。
山本 種類によっては、確率の高いものもあれば、低いものもあり、地震を一言で区切るのは難しいですね。この両方(確実度&活動度)を同じ比重で信頼、評価出来る様になったら、すごく防災に役立つ情報が提供されることになりますね。



<不確実情報を扱う社会のあり方>

山本 そういう様々な種類の地震があるのに対して、地震予知とそれに伴う警戒宣言、さらにそれに対応するアクションを定めた地震は、東海地震のみにとどまっています。不確実性のある地震予知を対応策に展開するとき、そのあるべき姿とはどの様なものなのでしょうか。
溝上 実際に東海地震に対して監視・観測を行っている気象庁や我々の立場から申しますと、「自分が捉えた観測事実をどの様にして発信するのか」「発信した情報をどの様に利用してもらえるのか」という点に関心があります。情報発信の基本は、本音で語ることです。一部でも隠したりすることは、良くないことです。特に地震のような自然現象は、正しく理解してもらうことが重要です。しかし観測事実を包み隠さずに発信すると、我々が考えている以上に一般の方々は、マスコミで煽られたりしてものすごい不安になる可能性があリます。
山本 逆に「地震が起きる確率は低い」なんていうと、安心してしまったり・・・
溝上 そうですね。なぜかといいますと、地震という現象をあまり理解していない、もしくは誤解しているからなんですね。事実を伝えたとき、我々の考えたとおりに受け止められない。「地震は、歪みを蓄えに蓄えて、そのエネルギーが一瞬にして放たれるうえに、突発的に起きるもの」だという基本的なことが理解されていれば、発信する我々も、安心して事実を本音で伝えることが出来るわけです。
山本 観測事実を発信しようかどうか迷っているうちに「東海地震」が起きてしまうかもしれませんね。
溝上 そうなんです。そこで気象庁では今回、最終的には予知情報が出ると、はっきりと情報の伝え方を決めました。その前段でまだ東海地震の前兆かどうかわからないときは、いずれ東海地震に繋がっていくかもしれないので、それを念頭において防災担当者に待機してもらい、どんどんこちらから情報を提供するということになりました。「いつ起きてもおかしくない」状況の東海地域ですから、別段変わりない状態でも、日頃から解説(安心)情報を流しています。
佐中 それは「地震は来ないので、安心してください」というものですか。
溝上 それが怖いところです。安心というコトバの意味は「いますぐ大慌てをする必要がない」ということなのですが、「もう東海地震は来ない」というように受け取ってしまう方もいるわけです。そのため安心情報や注意報を出すことは、地震に対する理解のない現在の日本の状況では非常に危険です。
山本 揚げ足を取られるようなものですね。
溝上 誤解が誤解を生むようなもので、真意として受け取られないことが地震では考えられます。今の時代は、インターネットなどの急速な普及により、個人レベルで様々な情報を入手することが可能になりました。それをいかに活かすかは、ひとりひとりの能力にかかっています。同時に専門家の役割も「確実な情報を多く提供する」ことに、重点を置けるように変化してきました。地震防災もそういう時代にならなければいけないと思います。


<個人としての対応>

山本 地震のような不確実な情報を扱うときに、発信者は正しい情報を本音で伝える。それに対して個人は、その情報を解釈していかなければならないというわけですね。個人として具体的にはどの様なことを意識すればいいのでしょうか。
溝上 家の耐震性、どの様な地盤の上に立っているのか、通勤圏の中に危険なものはないかなど、個人が自分の危険に責任を持って対応していくことですね。これが出来てはじめて我々の情報が活き、何倍も安全性を高めることが可能になるのだと思います。
山本 受容性の大きい個人と、技術の高い専門家でいいコンビネーションを築き上げたいですね。




☆やっぱり日本の技術はスゴイ!


今回は、ソニーから発売された話題の犬型ロボット「AIBO」の取材に行ってきました。
AIBOの詳しい情報は、
http://world.sony.com/robot でご覧ください。開発責任者であるソニーER事業準備室長の大槻正さんによりますと、「エンジニアは、誰もがロボットをやりたいと思っています。ソニーは、通常の仕事以外に自由に研究ができる会社で、AIBOも2〜3人の若手社員が取り組んだのがきっかけで、会社から公認されたのは、1年半くらい前のことです。今回は、日米で限定5000台のみの販売で、今後は幅広い人に買って(飼って)もらえるようなロボットにしたいと思います」ということでした。



昨日AIBOの販売受付がはじまりましたが、わずか20分で「完売」したそうです。25万円という値段が、どうでるのか楽しみにしていましたが、20分には驚きました。AIBOに対して私が感じたことは、「小さな子供がいる家に遊びに行った」感覚でした。はっきりとした声は出さないものの、触れたことに対するリアクションはある感じなのです。わかるかな?とにかく見た目こそ、ロボコップみたいですが、仕草や反応は本当にかわいいのです。周囲に購入された方がいらっしゃなら、ぜひみせてもらったほうがいいですよ。写真だけでは絶対にわからない魅力がありますから。

                            (洋)

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