『日本の技術競争力を考える〜問題点は何か』


<HOWには強いが、WHO,WHATに弱い>

山本 今夜はゲストをお招きしました。大東文化大学経済学部教授の山之内昭夫さんです。
山之内 よろしくお願いします。
山本 最近問題になってきている「日本の産業競争力」について、現状をどの様に捉えていますか?
山之内 モノづくりという側面から見ますと、日本は世界のトップ水準を維持していると思います。ただこれは、商品の性能や品質、コストを追求する強さですね。世の中の新しい市場に向かって、新しい商品・サービスを産み出すという点については、多くの問題があると思います。
山本 モノを良くするのは得意なんだけれど、「その次に何をやるのか」が苦手だったんですね。
山之内 HOWの技術は強いが、WHOとWHAT(市場の顧客は誰なのか、どんなサービスを提供するのか)が弱い。商品や事業の構想、コンセプトをクリエイトする力が弱いと感じますね。


<全産業に問題あり>

山本 特に問題になっているのはどんな業種でしょうか?
山之内 半導体、コンピュータ、化学、航空機には、問題がありますね。自動車、エレクトロニクスといった「加工組立型産業」は大丈夫だと思います。でも21世紀にかけて見通せば、全産業に問題があると思います。グローバル資本主義の流れの中で、世界の市場で戦える日本の企業は、どの業種も5〜10本の指に入る企業でしょう。そうでない企業は、最近M&A(企業の買収・提携)が活発化していますが、その国際的な再編の渦に巻き込まれてしまうかもしれない。また先進国の市場は、基本的に過剰生産体制にあります。しかし、デジタルエコノミーという新しい時代に入ったときに、製造業もサービス・ソリューション事業に近い形に在り方が変化してきます。私流にいえば、日本は「第3次産業革命」の渦中にあると言えますね。
山本 そうした状況の中、現時点での日本の「強み」とは?
山之内 やっぱり戦後築き上げてきたハードウェアに関する技術でしょう。例えば、超精密技術、異なった技術を融合する技術ですね。それから他国では真似の出来ない伝統芸能がに根ざした、日本人の感性・美的感覚も優秀です。
山本 これらをビジネスに結びつける力(創造力)が必要ですね。
山之内 戦後進んだ米国型の資本主義でなく、日本人の感覚を活かした、日本型の資本主義に展開して欲しいですね。


<技術者が、経営を視野に>

山本 産業競争力強化のひとつの方策に「生産性の向上」がよくいわれています。しかし成熟した市場で生産性が上がると、当然雇用は減少します。自動車や鉄鋼はいい例ですね。日本の雇用を産み出すための社会の在り方とは、どの様なものでしょうか?
山之内 「第3次産業革命」にマッチした産業を創出することですね。日本の得意とするハードウェア商品事業を再定義する。例えば、車の場合、単に「人や物を運ぶ」ものとせず、デジタルエコノミー時代では他にどんな役割をするのか。つまり製造業をベースにして幅を拡げる。また技術や商品を武器に、広く世界に日本の強みを発信し、海外の企業と戦略提携することで、世界の市場を獲得することですね。技術担当
が、経営までを視野に入れなければならない時代
になってきていますから、技術の世界でもIR(インベスターリレーションズ)が必要になってくると思います。

いよいよゴールデンウィークが近づいて参りました。みなさんはどの様な連休を過ごされますか?
毎年「どこに行っても混んでるから...」と思いつつ、やっぱり楽しみなものです。山本さんは、2番目の子供が誕生したばかりということで、「どこにも出かけられる状態じゃない」とおっしゃっていました。今度山本さんのご自宅に遊びに行って、どんなご家庭なのかレポートしますので、楽しみにしてて下さいね。
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